常温でも、なかなか腐らないはちみつ。
牛乳は傷む。
パンにはカビが生える。
果物だって放っておけば白く変わっていく。
でも、はちみつは妙に強い。
その秘密は、
カビや細菌などの微生物が、はちみつの中ではほとんど増えることができないから。
では、なぜ増えられないのでしょう。
・ 深刻な水不足

まず微生物がぶつかるのが、深刻な水不足です。
はちみつを見ると、液体なので水分が多そうに見えます。
でも実際には、はちみつの約8割は糖。
水分はおよそ15〜20%程度しかありません。
しかも、その少ない水も自由に使えるわけではありません。
大量に含まれる糖が水分子を引きつけているため、微生物が利用できる水はさらに少なくなります。
微生物も生き物です。
増えるためには、水が必要。
ところが、はちみつに入り込んだ微生物は、
「水が足りない」
という問題にいきなり直面します。
これだけでも、かなり生きづらい。
でも、はちみつが強い理由はそれだけではありません。
・ 甘いが酸っぱい環境(酸性)

はちみつは、とにかく甘い。
だから意外かもしれませんが、実は酸性の食品です。
多くのはちみつは、およそpH3〜4台。
多くの細菌にとって、これは決して快適な環境ではありません。
さらに、はちみつにはグルコースオキシダーゼという酵素が含まれています。
この酵素が働くと、条件によっては過酸化水素が生まれます。
過酸化水素といえば、消毒などでも知られる抗菌性をもつ物質です。
つまり、はちみつに入った微生物からすると、
水が少ない。
環境は酸性。
さらに抗菌作用まである。
細菌にとってはなかなかのハードモードです。
だから、はちみつは常温でも腐りにくいのです。
コラム:先人の知恵と大事な注意

昔の人は、この仕組みを知らずに使っていた
面白いのは、同じような仕組みを人間が昔から利用してきたことです。
ジャム。
砂糖漬け。
塩漬け。
干物。
どれも方法は違いますが、狙っていることの一つは同じ。
微生物が使える水を減らすこと。
「水分活性」なんて言葉が存在するよりずっと前から、人間は経験によって食品保存の科学を使っていたわけです。(先人たち恐るべし!!)
そして、もう一つ大切なこと。
はちみつが腐りにくいことと、無菌であることは別です。
はちみつには、まれにボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあります。
芽胞は、菌が厳しい環境を生き延びるための「休眠状態」のようなもの。
はちみつの中では増えにくくても、そのまま残っていることがあります。
1歳未満の赤ちゃんは腸内環境がまだ十分に発達していないため、芽胞が腸の中で増え、乳児ボツリヌス症を起こす可能性があります。
だから、
1歳未満の乳児には、はちみつを与えてはいけません。
まとめ
はちみつが腐らない原因は細菌・微生物が増えずらい環境だからです。
水が少ない。
環境は酸性。
抗菌作用まである。
これは細菌・微生物にとってハードモードです。
そのため、細菌が住みづらく、はちみつが腐らないのです。
昔の人たちはこの原理を漬物、ジャム、干物に応用して食料を守ってきました。
おばあちゃんの知恵が私たちの健康を細菌から守ってくれていたのかもしれません…
