日焼け止めの成分表示を見てみると……

「酸化チタン」
これって危険じゃないの?
実は酸化チタンは、汚れを分解する「光触媒」にも使われている物質です。
そんなものが、なぜ肌を守る日焼け止めに入っているのでしょうか?
そしてもう一つ。
昔の日焼け止めといえば、
塗ると白くなる。
そんなイメージがありませんか?
でも最近は、白浮きしにくい日焼け止めも増えています。
いったい、何が変わったのでしょう?
その秘密は、「光」と「粒の大きさ」にあります。
日焼け止めは、どうやって紫外線を防ぐ?
日焼け止めの仕事は、
肌に届く紫外線を減らすこと。
紫外線を浴びすぎると、日焼けや赤みだけでなく、
長い目ではシミやしわなど、肌の老化にもつながります。
そこで日焼け止めは、
肌に届く前に、紫外線をブロックします。
その方法は、大きく2つ。
紫外線を吸収する。
そして、
光を散らす。

では、日焼け止めに入っている酸化チタンは、
いったいどちらなのでしょうか?
「反射」<「吸収」
酸化チタンというと、
細かな粒が紫外線を跳ね返している
ようなイメージがあります。
ところが実際に測ってみると、
酸化チタンや酸化亜鉛が紫外線を反射する割合は、わずか数%ほど。
紫外線を防ぐ主役は、
「反射」ではなく「吸収」
なのです。
つまり酸化チタンは、
🪞 紫外線を跳ね返す鏡
というより、
🧽 紫外線を受け止めるスポンジ
に近い存在です。
なぜ酸化チタンなの?
ここがおもしろいところ。
酸化チタンは、
紫外線はよく吸収するのに、目に見える光は比較的吸収しにくい
という性質を持っています。

紫外線を吸収すれば、肌に届く紫外線を減らせます。
一方で、
私たちが普段見ている肌の色は、肌から返ってきた「目に見える光」によって決まっています。
だから日焼け止めには、
紫外線はしっかり防ぎたい。
でも、
目に見える光は、なるべく邪魔したくない。
という条件が求められます。
酸化チタンは、その条件を満たしやすい材料なのです。
「光を吸収しない」ことと、「透明に見える」ことは別の話。
ここに、昔の日焼け止めが白かった理由があります。
どうして昔の日焼け止めは白かった?
答えは、
目に見える光を「散らしてしまう」から。
酸化チタンは、目に見える光をあまり吸収しなくても、
粒がある程度大きいと、光をいろいろな方向へ散らします。
その結果、
肌が白っぽく見える。
これが、いわゆる「白浮き」です。
そこで登場するのが、
酸化チタンの微粒子化・ナノ化。

粒を小さくすると、目に見える光を散らしにくくなります。
紫外線を防ぐ力を保ちながら、白浮きを抑えやすくなる=白さを抑えながら紫外線を防げるようになります。
つまり最近の日焼け止めは、
酸化チタンそのものが変わったというより、
「粒の大きさ」まで考えて作られている
というわけです。
企業の努力が垣間見えてきますね!
コラム|光触媒なのに、なぜ日焼け止めに使える?
ここで、最初の疑問に戻ります。
酸化チタンは、
汚れなどを分解する「光触媒」にも使われる物質です。
「そんなものを肌に塗って大丈夫なの?」
と思いますよね。
実は、酸化チタンは紫外線を受けると、条件によっては表面で化学反応を起こしやすくなります。
光触媒では、
この“反応しやすさ”を積極的に利用しています。
でも日焼け止めでは、そんな反応起こしてしまうと肌荒れをしてしまいます。
そこで日焼け止め用の酸化チタンでは、
粒子の表面をコーティングする
などの工夫がされています。
つまり、
紫外線を防ぐ力は使う。
でも、
光触媒としての余計な反応は抑える。
同じ酸化チタンでも、
使い方に合わせて「表面」まで設計されている
ということです。
まとめ|日焼け止めは「光」をコントロールしている

日焼け止めは、ただの白いクリームではありません。
紫外線はしっかり吸収する。
目に見える光はなるべく散らさない。
という、細かな光のコントロールが行われています。
酸化チタンは、紫外線を吸収して肌を守る一方で、粒の大きさによっては光を散らし、白浮きの原因にもなります。
そこで粒を小さくするなどの工夫によって、
紫外線を防ぎながら、見た目は自然な日焼け止め
が作られるようになりました。
いつも何気なく使っている日焼け止めにも、
光と材料を操る科学
が詰まっているのです。

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